ヒトコモンコンサルティング合同会社
ヒトコモン行政書士事務所

それ、個人責任かも
会社を設立し、法人として事業を行っていると、「会社のことは会社の責任」そう考えるのが自然です。
確かに原則はその通りですが、実務の現場では法人で事業をしているつもりでも、結果的に社長個人が責任を負う形になっているケースを少なからず見てきました。多くの場合、違法行為や意図的なものではありません。日常の判断や手続の積み重ねによって、知らないうちに個人責任が生じています。
なぜ「法人なのに個人責任」になるのか
個人責任が問題になる場面では、次のような共通点があります。
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誰の名義で約束したのかが曖昧
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契約や手続の前提が整理されていない
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会社としての判断と、個人の判断の境界が不明確
つまり、「会社として行った行為」だと説明できない状態になっていることが多いです。
実務でよくあるケース
① 社長個人で約束・判断している
口頭や電話、メール、LINEなどで社長が直接条件を決めているケースです。ご本人は「会社の話をしているつもり」でも、外から見ると社長個人が約束したように見えることがあります。トラブル時に「会社の案件です」と主張しても、通らない場合があります。
② 契約書がそもそも作成されていない
実務で非常に多いのが、契約書を作成しないまま業務が進んでいるケースです。(建設工事では建設業法に定められた契約書の作成が必須となっています)
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口約束で始めた
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メールやLINEのやり取りだけで進めている
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見積書や請求書しか存在しない
当事者同士は「会社の取引のつもり」でも、会社としての契約内容を示す書面が存在しない状態です。この場合、トラブルが起きると、
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契約の当事者
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責任の範囲
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判断主体
が曖昧になり、社長個人の判断・責任として整理されてしまうことがあります。また、取引の相手方においても、会社としてなのか、担当者個人としてなのかあいまいになっておりトラブルに発展しているケースもありました。「契約書を作っていない」こと自体が問題なのではなく、会社として責任を区切る材料がないことが、結果として個人責任につながります。
③ 許可・登録の名義と実態がズレている
許認可の名義が個人のままで、実際の営業は法人で行っている。またはその逆など、名義と実態が一致していない状態も、個人責任が生じやすい要因です。問題が起きた際、「誰が責任主体なのか」が明確でないと、個人に責任が集中することがあります。
④ 代表者個人が責任者として位置づけられている業務
業種によっては、
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管理責任者
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選任者
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名義人
として、代表者個人の責任が前提となる制度があります。この場合、会社の問題であっても、個人として説明や対応を求められる場面が出てきます。
⑤ 社内の意思決定が整理されていない
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社内規程がない
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権限分掌が曖昧
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記録が残っていない
こうした状態では、会社として判断した証拠が残りません。結果として、「社長個人の判断だった」と見なされるケースも可能性もあります。
個人責任になると何が起きるか
個人責任が生じると、
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損害賠償請求が個人に及ぶ
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保険が使えない、または限定される
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会社を整理しても問題が終わらない
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私生活や家族に影響が出る
といった事態につながることがあります。
行政書士が関わる意味
このテーマは、
紛争処理や裁判の話ではありません。
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契約の名義
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許可・登録の整理
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社内体制や役割の明確化
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行政の指導や業法に則った書面や記録の整備
こうした点を事前に整えることで、個人責任が生じにくい状態を作ることができます。ここは、比較的行政書士に親水性が高い領域です。
まとめ
「会社のために判断している」そう思っていても、手続や形が伴っていないと、結果として自分自身を守れていないことがあります。
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誰の名義で契約しているか
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誰が責任主体になっているか
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会社として説明できる状態か
一度確認するだけで、防げるリスクは少なくありません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の責任の所在は、契約内容や事業形態により異なります。判断に迷う場合は、状況整理のみのご相談も承っています。